相原正明の個人オフィスのホームページです

2021年4月~2022年3月

メールマガジン 第106号〜第109号

第109号

謹啓 このメルマガ前文を書く直前にNHKBSプレミアムPM8英雄たちの選択で西暦527年の磐井の乱(九州の豪族の乱)を目の当たりにし、つい郷土東北の雄アテルイを思い起こし、改めて感ずるものがありました。
その後お元気でしたか。新年初のメルマガをお届けします。

相原正明行政文化小園 メールマガジン第109号(R4.2.2)

― 温暖化への危機意識高めて ―

昨年10月、日本人が今年のノーベル物理学賞に選ばれたといううれしいニュースが飛び込 んできた。米プリンストン大学上席研究員の真鍋淑郎さん(90)である。受賞理由は「大気中 の二酸化炭素(CO2)濃度の上昇が地球表面の温度上昇をもたらす仕組みを解明した。1960年 代には気候変動の物理モデル開発をリードし、現在の気候変動予測の基礎を築いた」だ。
時あたかも同じ10月末から英国で気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)が開かれ た。ノーベル財団の今年の物理学賞決定の判断は、世界に向けたメッセージと受け止めるこ とができるとの見方もされた。
このCOP26には二つの大きな目標があり、その一つの気温上昇を「2度未満、できれば1.5度 以内に抑える」とするパリ協定のルールブックを完成させることについては達成した。しかし、もう一つの気温上昇を1.5度まで食い止められるよう対策強化の行動を加速することについては 難航した。CO2回収などの削減対策が取られていない石炭火力について「段階的な廃止を加速」となっていた議長案が「廃止の努力を加速」に後退となり、さらには「廃止」が「削減」に変更 された。シャーマ議長は、言葉を詰まらせながら「申し訳ない。だが最も大切なのは合意文書全 体を守ることだ」と述べた。
COP25に続きこの会議でも環境団体から不名誉な「化石賞」に選ばれた日本はどう動いていく のか。日本も「2030年度温室効果ガス46%削減」や「2050年実質ゼロ」の目標を打ち出し、その 中で家庭に対しても30年度に13年度対比で66%削減することを求めている。具体的な手法が明確 でないが、国民の立場で協力していく必要がある。
この場合、地球温暖化の影響をどのように認識するのかがカギになると思われる。環境ジャー ナリスト枝広淳子さんによると、米国のピュー研究所が40カ国の18歳以上の成人を対象に調査し た結果(15年)では、日本の「温暖化を非常に深刻な問題だと考えている人の割合」は世界全体の 平均よりも低いという。
世界においては、「島が一つ一つ海にのみ込まれる」、「干ばつによる水不足や食料不足が増 大する」などが指摘され、日本でも「米やリンゴなどの生産適地が変動する」「上陸する台風が 強大化する」といったことが懸念されている。
地球温暖化の影響を過大でも過少でもなく正しく理解し、危機意識を持ち、官民挙げて地球温 暖化対策を推進することが大切ではなかろうか。
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上述の乱で朝廷軍に敗れ落命した筑紫君磐井ですが、彼が残した巨大古墳と共に地元の岩戸山歴 史文化交流館で事績が顕彰されているようです。それから約3百年後のアテルイの事績も展示顕彰できないかと思いました。
新たなコロナ禍との戦いの最中、くれぐれもご自愛ください。

小園亭主敬白

・ 本文は、令和4年1月20日付けの岩手日報紙「日報論壇」に掲載されております。

第108号

謹啓 軽い農作業を終え、着替えをしながらテレビで女子プロゴルフトーナメントを見てい たら、渋野日向子が土壇場の逆転勝利を収めました。その興奮冷めやらぬままこのメルマ ガを組み立てました。
お変わりありませんでしたか。早速お届けします。

相原正明行政文化小園 メールマガジン第108号(R3.10.31)

― 外来語の多用 慎重に ―

かつて行政マンであったころ、東京都内の視察先で、情報通信分野の最先端企業のブースの前に立った際、説明の女性が繰り返し「コンテンツ」と述べるのに意味が分からず閉口した記憶がある。後で調べれば「情報内容」でも良かった。しかし、最先端の製品・機能の説明としては、しかも民間企業の立場からは「コンテンツ」の方がおしゃれで良かろう。
最近では、このような機会が益々増えてきたが、国会答弁の中で首相が質問者の用語を引用する形で「そのようなエビデンス」という言い方で答弁していた。なぜ国民に分かり易く「そのような根拠」と言えないのであろうか。
2013年6月に岐阜県の住人で「日本語を大切にする会」の世話人Tさんが、NHKに対して公共性の強い立場なのに日本語を軽視するような姿勢に強い疑問があるとして慰謝料を求める訴えを起こした。日本語で容易に表現できる場合でも外来語を多用しているのは問題との趣旨である。翌年敗訴となったが、ネット上に賛否両論が出るなど一石を投じた。
実はこれより大部前の95年にNHK放送文化研究所が、フランスにおいて94年に成立した「フランス語の使用に関する法律」について触れながら一定の見解を示している。この法律は、公共性の高い分野にフランス語の使用を広く義務づけるとともに高額の罰金をもって外来語の使用を規制しようとしたものである。同研究所は「ことばは国が口を出す問題ではない」という意識が根強い日本人にフランス流の言語政策はなじまない点が多いとしながら、日本の外来語の現状を深刻に受け止め、公共性の高い情報に対しては基準や目安を示すなど、野放し状態といわれる現状に対して対策を考えていく必要もあると述べている。
一方、国立国語研究所では「外来語」委員会を設立し、03年から数次にわたり、「外来語」 言い換え提案をしている。たとえば、クライアントは顧客、シーズは種(たね)といった具合だ。官庁・報道機関など公共性の強い組織がなじみの薄い外来語を不特定多数に向けて使用するときのさまざまな支障を招かないようにとの趣旨である。
このような外来語多用に関する論議の流れを見るとき、大切な情報を全ての一般住民に分かりやすく正確に伝える責務のある国や自治体の関係機関は特に認識を深めるべきではなかろうか。改めて外来語多用に慎重な対処をされるよう望みたい。
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勝利目前でのよもやの敗北、逆に敗色濃厚下での相手の凡ミスによる棚ぼた勝利は私の碁では良くあります。人生の縮図とも言えましょう。
コロナ禍収束の光も感じますが、ご油断なくご健康でお過ごし下さい。

小園亭主敬白

・ 本文は、令和3年10月8日付けの岩手日報紙「日報論壇」に掲載されております。

第107号

謹啓 東京オリンピックを楽しんでおられますか。連日の金メダルラッシュで、まさに黄金の国ジパングを彷彿とさせているようです。
いかがお過ごしでしたか。メルマガをお届けします。

相原正明行政文化小園 メールマガジン第107号(R3.7.30)

― 子どもの貧困対策充実を ―

動物番組のNHK「ダーウィンが来た!」をほぼ毎回欠かさず見ている。私の受け止めとしては、動物たちの最も大切な究極の目標は、確実に子孫を残すこと、さらに誕生した子孫が生き抜く知恵と工夫を授けることに尽きるように見える。
人間世界は、複雑で単純に同様の流れにあるとは言えないとしても、子孫を心身ともにたくましく育てることの重要性を疑う者はいないであろう。しかし、このことは政治・政策の中でしっかり行われているのであろうか。その一つに子どもの貧困問題がある。

厚生労働省の調査によると2018年の中間的な所得の半分に満たない世帯で暮らす17歳以下の割合を示す「子どもの貧困率」は13.5%であり、約7人に1人の子どもが貧困状態にある。報道では、コロナ禍で子どもの貧困が加速しており、国連児童基金(ユニセフ)によると、世界で貧困に苦しむ子どもは7億人以上いるとみられ、親の失業状態などで増加傾向にあるという。

貧困は、子どもの成長に大きな影響をもたらし、栄養失調で発育が阻害されるほか、医療や教育も十分に受けられない。その影響は生涯にわたり続く可能性が高いとされる。識者は、その影響について①自己肯定感の低下につながる②教育格差が生まれる③将来の所得の減少と財政負担の増加による社会的損失につながる―と指摘している。

国においては、子どもの貧困対策の推進に関する法律に基づき、19年には子供の貧困対策に関する新たな大綱を定め、施策として①教育の支援②生活の安定に資するための支援③保護者に対する職業生活の安定と向上に資するための就労の支援④経済的支援―を示している。
これを受けた形で、岩手県では子どもの幸せ応援計画を定め、子どもの居場所に関する支援など多彩な施策を展開しようとしている。さらに市町村における計画もあり、今後に期待できる態勢となっている。

ただし、広範囲にわたる施策であるため、対策の成果や実情に応じた適切な施策となっているかなどが十分伝わってこない。
例えば、最近注目を集める子ども食堂についてみると、東京都中野区のように毎年の会場賃料などの運営経費にも支援している例があるものの、多くの自治体は立ち上げ時の設備費などへの補助金交付にとどまっており、継続的な運営に対する支援の工夫がさらに必要である。

菅首相はこども庁創設を目指しているが、この機会に子どもの貧困対策を総点検し、真に求められている施策が充実されるよう望みたい。

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2回目のワクチン接種を終え、「トンネルを出たらそこはワクチン接種後の世界であった」との実感です。慎重な中にも期待感がにじみ出ます。コロナ禍、台風襲来と大変ですが、是非ご健康でお過ごしください。

小園亭主敬白

 ・ 本文は、令和3年7月9日付けの岩手日報紙「日報論壇」に掲載されております。

第106号

謹啓 青空を背にした海棠は、息を呑む美しさです。中国の玄宗皇帝は、ほろ酔いの楊貴妃を海棠にたとえたといわれ、この故事から海棠は「ねむれる花」とも呼ばれます。
春宵の季節となりましたが、いかがお過ごしですか。メルマガをお届けします。

相原正明行政文化小園 メールマガジン第106号(R3.4.30)

― 産業と雇用政策強化を ―

新型コロナウイルスが招いた災難や危機的状況は、産業に大きな打撃を与えた。特に次の業種は苦境に立たされていると言われている。旅行業、旅館・ホテル業、航空業、飲食業、イベント業、繊維・繊維製品業、娯楽産業(遊園地、映画館などのオフラインビジネス)などである。

一方で急伸している業界もあるようだ。医療・医薬品業界、オンライン産業(ゲームなど)、スーパー・コンビニエンス・ドラッグストア、フードデリバリー(料理を配達するサービス)、保険業、リモートワーク(従業員が会社に出社することなく自宅やカフェなど会社のオフィス以外の場所で仕事すること)関連業などである。

新型コロナウイルスの感染問題は、第3波を迎えて再び国が非常事態宣言を発し(今年1月)、一定の成果を上げて解除した(3月21日)が、いつ次の波を迎えるか予測が困難である。
これらと並行していよいよ切り札とも言われるワクチン接種がスタートした。河野担当大臣は先行する海外のデータではワクチンの有効率95%(感染が95%少ない)と述べている。しかし、国民全体に行き渡るのがいつか見通せず、また、日本のみ接種完了しても世界規模で行われなければ人とモノの交流が進まず、インバウンドを始め経済の復活にはほど遠い状態がしばらく続くことになる。この間の経済と生活の安定策が必要である。

これまで全国民への一律10万円の給付や事業所などへの持続化給付金、雇用調整助成金など懸命の支援措置が講じられてきたが、国家財政にも限度がある。国の長期債務は1千兆円を超え、国内総生産(GDP)の2倍を上回り、主要先進国中で最悪の水準となっており、赤字財政支出の抑制が不可避である。

ここは現実を踏まえた新戦略が必要である。経済産業省は、ポストコロナ・ウィズコロナ時代の経済社会の変化に対応するための企業の思い切った事業再構築への支援を行っている。
例えば居酒屋経営の場合、「オンライン専用の注文サービスを新たに開始し、宅配や持ち帰りの需要に対応」する場合などに資金援助する。また、厚労省では産業政策と一体となった雇用形態の転換や能力開発の推進を図るため、従業員のスキル(技能)転換に必要な研修などを支援する。まだ目立たないが新たな政策の潮流を感ずる。

国においては、このようなコロナ禍中における産業の新たな振興策とこれと連動する雇用の安定化策を明確に政策の中心に据え、官民挙げて強力に展開してゆくべきである。

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エッセイイストの林真理子さんは、筆圧の低いペンを用いて縦書きで、流れるように一気に書き上げるとのことです。書き手の想いを読み手に共感頂く上で効果的かもしれません。参考にしたいと思います。コロナ禍中ですが、是非お元気でお過ごしください。

小園亭主敬白

・ 本文は、令和3年4月9日付けの岩手日報紙「日報論壇」に掲載されております。

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https://www.pon.waiwai-net.ne.jp/~ma230301 (相原正明行政文化小園 URL)
http://iwate-miraiken.sakura.ne.jp (NPO法人いわて未来政策・政経研究会URL)
ma230301@pon.waiwai-net.ne.jp (相原正明 E-mail)
miraiken@pon.waiwai-net.ne.jp (NPO法人いわて未来政策・政経研究会E-mail)
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