相原正明の個人オフィスのホームページです

2013年4月〜2014年3月

メールマガジン 第73号〜第78号

第78号

謹啓 メール発信は、朝でも深夜でも相手の都合に関係なくできて便利だといつも思っていました。ところが、ある同級会で、女性から「貴方のメルマガが夜中に届くと音がして目が覚める。」と言われて仰天。したがって、今回から日中にお届けします。お変わりありませんでしたか。メルマガ第78号をお届けします。

相原正明行政文化小園 メールマガジン第78号(H26.1.7)

― 女性登用は意識改革から ―

平塚らいてう

「元始、女性は太陽であった」とはかの平塚らいてうの有名な言葉である。天照大神、卑弥呼、女性天皇ら日本は女性がリードする国でもあった。ところが明治以降の首相に女性はおらず、近年の女性閣僚も男女ほぼ半々という北欧諸国と比べても著しく少ない。あのサッチャー元首相(イギリス)やメルケル首相(ドイツ)のような活躍が日本でも見られないものか。

安倍首相は「女性が指導的立場に立てる日本をつくっていきたい。」と話す。逆に言えば女性登用が十分なされていない日本の実態である。

かつての私の市長マニフェスト(公約)に、市審議会等への女性登用率を一定割合高めるというものがあった。市の各部局に強力に指示してその割合をアップさせたが限界にもぶつかった。地域自治会や老人クラブからの委員に女性を入れようとしてもその団体の役員に女性がいない。これは基礎単位の町内会・自治会の実態を見ればすぐわかる。一家の代表としてまず男性が会に出てゆく慣わしになっている。女性が会長などの役員候補となる土壌がそもそも少なすぎる。

平成11年に男女共同参画社会基本法が制定され、女性の立場を重視した取り組みが国・自治体レベルで進められてきた。近年これに加えて女性力の活用が強く叫ばれるようになった。なぜだろうか。

一つには少子化。人口減少時代に新たな労働力として埋没している女性の生産力が必要になってきた。もう一つには大手企業を中心に広まってきている男性と異なった能力の活用による企業総合力のパワーアップの必要性である。

さらに長引くデフレ不況により、夫の収入だけではやっていけなくなった女性たちがやむを得ず世の中に進出し始めたということがある。いやおうなしの女性力の登場である。意識転換の好機ともいえる。

最近、当NPO活動のため取材したある若手女性経営者の言葉が重く響く。「夫に収入も人生もかける時代は去った。安定収入、一家の危険分散のためにも夫婦で半々ずつ稼ぐ時代になった。家事、地域での雑務、PTA業務などを女性に押し付けないで男性が分かち持つことから始めるべきだ。男女の意識改革は幼少期から始めなければならない。」安倍首相に提言したい。「やや、迂回でも女性登用は、まず意識改革から重点的に始めましょう。」

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シクラメンと言えば、布施明の歌しか知りませんでしたが、何日も幾日も寒さに耐えながら、花の姿を崩さずにいることに感服しました。この花に負けずに寒さを乗り切りましょう。くれぐれもご自愛ください。

小園亭主敬白

(注) 本文は、平成26年1月6日付けの岩手日報紙「日報論壇」に掲載されております。

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第77号

富山市での現元首長      西川太一郎 荒川区長

謹啓 「アナタとんでもないところを歩いていますよ。目黒区役所はずっと向こうの方ですよ」と厳しい口調ながら、そのご婦人はわざわざ自分の道順を変更して10分ほど一緒に歩いてくださった。名乗らずにお礼のみでお別れしてしまったのが心残りの昨夕でした。お元気でしたか。メルマガ第77号をお届けします。

相原正明行政文化小園 メールマガジン第77号(H25.11.26)

― GNH(国民総幸福量)指標を導入しよう ―

富山市での現元首長

先月富山市の富山国際会議場で全国13自治体の首長で構成する「未来の都市を創る市長の会」が開催され、招かれて発言の機会を与えられた。シンポジウム方式で、地元の森雅志富山市長がコーディネーターを務め、寺前秀一加賀市長(石川県)、山下貴文深川市長(北海道)、長友貴樹調布市長(東京都)がパネラーとなった。私は、その前段の「市長経験者のまちづくりに対する提言」の部で、野平匡邦前銚子市長(千葉県)とともに発言した。
実はこの会は私と野平氏が平成16年度に立ち上げた会であり、そのご縁から招かれたという背景がある。230人の富山市民を前にGNH(国民総幸福量)指標の導入について話した。

その中で、私が代表を務めるNPO法人いわて未来政策・政経研究会では、本年9月に21項目の政策・意見提言書を取りまとめ、国や自治体の行政の長、国会議員等の政治家に提出したが、その中の一つにこの『GNH(国民総幸福量)指標の導入について』があることをまず述べた。

中味として、ブータン国の前国王が40年ほど前に「GNHは国内総生産(GDP)よりも重要」と提唱したGNHの政策が近年世界的に注目されていること、例えばブータン国では『心理的幸福』指標実現の中で、寛容・満足・ 慈愛の感情と怒り・不満・嫉妬の感情を心に抱いた頻度を調べる、それによって、どの地域のどんな人達が怒っているか、慈愛に満ちているか一目で分かり、それが政策に生かされていくことなどを説明した。

シンポジウムのことは以上であるが、日本での取組みを見ると、一昨年11月に法政大学大学院では、このGNH関連指標として出生率、離婚率、悩みストレス率、自殺死亡者数など40の指標を選出し、これに基づいて都道府県別に算出している。その結果は1位福井県、22位岩手県、最下位大阪府であった。

西川太一郎 荒川区長

また、行政を実際に担当する荒川区では、西川太一郎区長が「荒川区民総幸福度」を提唱し、区民の幸福度を測る指標を独自に作り、行政が区民の幸福度の向上にどの程度寄与したかを評価するするとともに、区民の幸福度向上という観点から資源を優先的に投資する政策を展開している。
具体例を上げると、子供の不幸を減らすという観点から施策を検討し、児童の安全活動の拠点として学校にスクール安全ステーションを設置した。また、意識調査結果で、幸福な生活に必要なことの第1位が「健康」であり、しかも荒川区では若くして亡くなる人が多いことから、働き盛り世代の外食の多さに着目し、区内の飲食店が女子栄養大学と協力し、栄養バランスのとれた『あらかわ満点メニュー』を開発し、区民に推奨した。

このようなGNHへの取組みは緒に就いたばかりであるが、荒川区の例でも分かる通り、具体的な施策自体は特別変わったものではなく、またそうである必要もない。政策の最終目標が物の豊かさより心の豊かさを大切にする思想を中心軸に据え、それに基づいて施策を組み立てることが大切なのである。

住民の心の豊かさをどう把握し、それを高めるためにどんな指標のもとに施策を具体化させるか、まだまだ研究が不足し、実践例が少ない。しかし、政治・行政の究極の目的は人々の真の幸福にある。このようなGNH指標を今後国や自治体の主要指標として積極的に導入し、物質的豊かさのみならず、精神的な豊かさを併せ持つ国・地域に導くべきことを提唱したい。

時期は異なりますが関西の紅葉が橙色なら東北のそれは真っ赤ですね。と感じて帰郷した身に寒気が迫ってきました。風など引かれませんようご自愛願います。

小園亭主敬白

(注) 本文は、平成25年11月24日付けの岩手日日新聞に「特別寄稿」として掲載されております。

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第76号

水上式太陽光発電システム(富山県射水市)

謹啓 パソコンを買い替えたのは良いとして、このメルマガ発信ソフトはじめいくつかの重要機能を再構築せざるを得ず、悪戦苦闘しています。しかし一方、桁違いのスピード感・利便感に大満足です。
その後いかがお暮らしでしたか。メルマガ第76号をお届けします。

相原正明行政文化小園 メールマガジン第76号(H25.10.12)

― 再生エネ導入推進を ―

グリーンパワーくずまき風力発電所

再生可能エネルギー(以下「再生エネ」)の導入が活発である。太陽光発電や風力発電の導入が次々としかも大規模に行われている。

再生エネ(太陽光、風力、地熱、バイオマス、水力ほか)は、石炭、石油、天然ガスなどの化石燃料と異なり、枯渇するということがなく、自然の恵みを繰り返し無尽蔵に活用できる点に最大の特徴がある。また、化石燃料と違って地球温暖化の原因となる二酸化炭素をほとんど排出しないクリーンエネルギーであることから、かねてより導入が図られてきた。

これが東日本大震災後の脱原発の流れの中で、さらに大きくクローズアップされることになり、それを背景に電力会社との固定価格による長期安定契約ができる制度が用意された。これが活発に各地で取り入れられるようになった原因である。

しかし大きな問題がある。国家としての総合的な導入計画がまだ樹立されていないのである。環境省等による補助制度があり、自治体レベルでの一定の計画はあるが、欧州先進諸国から大きく後れを取っている。

経済や技術力などが日本と似通うドイツでは東京電力福島第一原発事故直後に国民投票により、脱原発を政策決定。加速度的に再生エネ導入を進めている。2010年ベースで総エネルギーに占める再生エネ割合は日本3.5%、ドイツ17.1%であるが、さらにドイツでは30年に50%、50年に80%の目標を立てている。

日本では、安倍政権が原発再稼働に積極的な姿勢を見せる中、その行方がなお不透明なため、全体的なエネルギー政策が定まらない状況が続いている。
地球温暖化対策としての温室効果ガス削減目標への取り組みも欧州連合(EU)をはじめとする先進諸国から遅れ、民主党政権時代の「1990年比25%削減」という国際公約見直しを表明したのみで、新たな目標をまだ示せない状況にある。

福島原発事故の教訓を見据え、世界各国とともに地球温暖化防止に先導的に取り組むべきときである。その鍵は、クリーンで海外に依存せず、自国の資源で永久的に賄える再生エネをおいて他にない。
世界最先端の再生エネ活用国を目指し、速やかに全国計画を策定し、都道府県、市町村の計画と連動させながら、国民との協働のもとに同エネルギーの抜本的導入を強力に推進すべきである。

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ゴルフシューズに落ち葉が張り付いたのを見て、天下の秋を感じました。それにしてもこの季節になったら雨に濡れるのは禁物です。何かとご自愛願います。

小園亭主敬白

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第75号

名月

謹啓 夕食後、庭に出てみると残念ながら中秋の名月が雲に隠れていました。それでも澄んだ虫の音に耳を傾けているうち、月が一瞬現れ、まるで女学生のように恥ずかしげにすぐ姿を消しました。
お変わりありませんか。メルマガ第75号をお届けいたします。

相原正明行政文化小園 メールマガジン第75号(H25.9.19)

― 考えよう憲法改正問題 ―

安倍首相

9月は、戦後日本が主権を回復する根拠となったサンフランシスコ講和条約が調印された月である(昭和26年9月8日)。実はこの時から日本の憲法改正論議が始まった。いわゆる「55年体制」の中で自民党が自主憲法制定を党是とする一方、社会党が護憲を主張した。 改憲論者の首相として岸信介、中曽根康弘が登場したが具体化には至らず、「戦後レジームからの脱却」を掲げる安倍晋三氏が登場(第一次安倍内閣)し、国民投票法を成立させた(平成19年)。昨年4月には自民党が憲法改正草案を発表し、再び安倍晋三氏が登場して第二次安倍内閣を組閣したことにより、いよいよ改憲論議が高まることとなった。

同首相はまず憲法改正手続きを定める96条の先行改正を主張したが、連立を組む公明党の反対や参議院選挙(7月)への配慮などにより、トーンダウンさせ、当面、集団的自衛権をめぐる憲法解釈変更論を展開させている。しかし、今後本格的な憲法改正が大きな政治課題となることは確実である。

私たちにとって憲法改正は何を意味するのか。どんな影響があるのか。
今、私たちは、貴族・平民といった身分差別はなく、男女平等に選挙権を有し、集会や結社の自由、言論・出版などの表現の自由、居住や職業選択の自由などの権利を有している。生まれながら当然のものと感じているが、憲法で保障されたことにより保持しているのである。このような基本的人権の尊重のほか国民主権の考え方、戦争放棄をうたう平和主義についても水や空気のようなものと思っている。これがどう変わるというのか。

この論議の中心となっている自民党の憲法改正草案はあらゆる条項にわたっている。このうち憲法の基本原理である①天皇②平和主義③基本的人権の尊重に関する改正案を見てみよう。
①については、これまでの「日本国の象徴」から「日本国の元首」に改める。
②については、「陸海空軍その他の戦力は保持しない。国の交戦権は認めない」から「自衛権の発動を妨げない。国防軍を保持する」に改め、「戦力不保持と交戦権拒否」の規定は削除する。
③については、「自由と権利には責任が伴うことを自覚」と規定し、これまでの「公共の福祉に反しない限りの尊重」から「公益、公の秩序に反しない限りの尊重」に改める。

このような改正がやがて私たちの生活に実質的に重要な変化をもたらすことは疑いない。当然国民的議論を深める必要がある。

既に民間の動きも活発である。本年5月には、岩手県下の市町村長とその経験者18人で構成する「地方自治に日本国憲法の理念を活かす岩手県市町村長の会」が誕生した。永年にわたり住民生活の安定と発展に責任を果たしてきた人々によって改憲論議に良識の一石を投じようとするもののようである。このような活動が次々生まれることを期待したい。

もはや人ごとではない。政治家任せを改め、私たち自身が自らの大切な課題であることを認識し、また子孫の将来にかかわる重大事と捉え、考え、取組むべき時期に来ている。

名月を杯に浮かべ、時おり塩を口に含めながら味わう酒は絶品です。
これからの季節、つい飲みすぎぬよう、くれぐれもご自愛願います。

小園亭主敬白

(注) 本稿(論文の部分)は、平成25年9月19日付けの新聞―盛岡タイムス「論壇」に掲載されております。

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第74号

謹啓 先ほど暑さを緩和する夏の雨がぱらつく中、選挙カーの前でマイクを握って応援演説をしてまいりました。久しぶりの街頭演説でしたが、幾度もの経験が背中を押し、リラックスして話すことができました。
お元気でしたか。メルマガ第74号をお届けいたします。

相原正明行政文化小園 メールマガジン第74号(H25.7.9)

― 子どもの力でいじめ追放 ―

いじめ防止対策推進法が成立した。いじめを防ぐために国や自治体、学校の責務を定め、学校には常設の対策組織を置くことを明記した。
2011年の大津市の中2男子自殺など深刻化する現状を踏まえた措置である。
この男子の父親は「生きている子どもたちを助けるために、息子が命がけで作った法律だと思っている」と述べた。

「国としていじめをやめようというメッセージを発することは重要」と評価する声がある一方、「どうすればいじめを防げるのか根本的な部分が見えない」との意見もある。報道の論調は行政、学校・教員、親がもっとしっかりしなければということに力点を置いているように見える。

しかし私は何か足りないものを感じる。子どもたち自身がいじめを追放しようという考えを持ち、行動を起こせないものか。そういう能力がないと決め付けてよいものか。かつてどこの地域にもいて、弱いものいじめをする者を懲らしめてくれたガキ大将はどこへ行ってしまったのか。

いじめ問題が私の所属する研究会のテーマに設定されてより、様々な文献を探すうち、教育研究家尾木直樹氏の実践録と論文に出あった。
いじめの実態をえぐり出す子どもたちへのアンケートの実施、その結果の発表、子どもたちへの「和解作戦」の提案、和解の締切日時の明示などの手順を経て学級からいじめを根絶したことが報告されている。
また、他のクラスのツッパリグループを含む数人の攻撃に端を発した「私達は暴力・いじめに反対します!」という学級アピールの採択とそのポスター掲出、学年中央委員会によるアピール発表、アピールの各クラスでの読み上げと学級討論などにより、8クラスすべてからいじめを追放したことが記されていた。氏は「子どもは前進の力、正義の心を持っている」と結んでいる。

安倍首相の肝いりで設置された教育再生実行会議の第一次提言では「道徳を新たな枠組みによって教科化すること」と並んで、「子どもたち自身が自分たちの間の問題を解決できる力を身に付け、行動していくことができるよう指導し、支援していく」と述べている。
行政・学校・家庭は、いじめ撲滅への強い意志を持ちつつ、木の陰に立って子ども自身による解決と人間的成長を見守っていく姿勢が大切である。

俳句を趣味とする私ですが、不思議と夏の作句は少なく、秋の半分もありません。そんな少ない中から1句。
津波来し 高さの辺り 百合の花  江山(相原正明)

小園亭主敬白

(注) 本稿(論文の部分)は、平成25年7月9日付けの新聞―岩手日報「日報論壇」に掲載されております。

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第73号

被災地の陸前高田市にて

謹啓 春の陽気の中で、屋敷うちの畑にリンゴの苗木二十数本(ふじ、つがる)を植えようと穴掘り作業をしました。良い汗をかいたのですが、私には無縁であった腰痛の気配がしてピッチャーの如く中休みを入れることにしました。
お変わりありませんでしたか。メルマガ第73号をお届けいたします。

相原正明行政文化小園 メールマガジン第73号(H25.4.6)

― 復興へ特別立法速やかに ―

東日本大震災から2年目を迎えた3月11日、安倍晋三首相は「必ずや復興を加速させる」とのメッセージを発信した。県内では今も4万人近い人が仮設住宅などで不自由な生活を強いられている。一方で、被災者の恒久住宅となる災害公営住宅の完成は四十数戸にとどまっている。

被災地最大の課題は住まいの確保にある。これが見えないことにより、被災地は漠然とした不安の空気に包まれている。仮設団地内のある男性は、防災集団移転事業に期待を寄せるが、土地の造成まで最短でも2年はかかると言われ、「宅地に『くい』を打ってくれるだけでも希望が湧くのに」と残念がる。

なぜ住宅用地の確保が進まず、また公営住宅などの建設が遅れるのか。復興の壁は何か。

まず挙げられるのは「さまざまな不足」である。①行政(市町村)の職員が足りない。②復興工事の本格化で生コンなどの資材や作業員が足りない。作業員の宿泊施設も不足している。

この不足に対しては、国<県を挙げて人材を派遣し、あるいは生コン施設を建設し、さらには工事発注に当たり資材費や人件費の実勢価格を踏まえた工事費の積算など次々と対策を打ち出している。その効果的実施に期待したい。

次に、いわば法の壁として立ちはだかる用地取得問題がある。①森林法や農地法、都市計画法など省庁縦割りの許認可手続きと調整に時間を要する。②土地の所有者が行方不明などの場合、土地収用手続きをとる必要があるが、多くの時間を要する。③土地の相続手続きがなされていない場合、全国各地に散らばる多数の相続人の承諾を得るという膨大な仕事が待っている。

これらのことについて、地元首長は手続きの簡略化と復興庁への一本化、用地確保のための特別立法を求めている。しかし、省庁の反応は鈍い。「私的所有権の制限や強制的な土地取得などはいわば最後の手段で簡単にできるものではない」とし、運用の改善の域を出ない。

ここはやはり政治の出番である。単なる手続きの話ではない。この厚い法制度の壁を乗り越えなければならない。首相の掲げる復興加速の成否そのものに関わる。復興を応援する総ての人がこのことについての意識を高め、声を大にしよう。そして将来の大災害にも備える観点も併せながら迅速な事業用地確保のための特別立法を速やかに実現すべきである。

丁度この日(4月6日)、岩手県の被災地を訪れている安倍首相は、お昼時間にでも地元紙のこの論壇記事を読まれたかも知れません。
花粉症には十分気をつけられながら、お元気にお過ごし願います。
小園亭主敬白

(注) 本稿(論文の部分)は、平成25年4月6日付けの新聞―岩手日報「日報論壇」に掲載されております。

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