相原正明の個人オフィスのホームページです

2017年4月〜2018年3月

メールマガジン 第90号〜第93号

第93号

謹啓 わが家の屋根の四方に様々な大きさ、形のつらら(氷柱)が垂れ下がっており、その限りなく透明な姿に感動すら覚えます。
1月も末となりましたが、本年もどうぞよろしくお願いいたします。

相原正明行政文化小園 メールマガジン第93号(H30.1.31)

― AIと未来へ進むべき時 ―

昨年12月、日本出身作家としては3人目のノーベル文学賞受賞者となった英国人作家カズオ・イシグロ氏は、スウェーデン・アカデミーでの記念講演の中で、科学技術の進歩により想像すら難しい未来が待ち受けているとし、遺伝子技術や人工知能(AI)がはらむ危険に警鐘を鳴らした。
AIやロボットの発展については、技術進展は人命を救う上で素晴らしい恩恵をもたらすとする一方、「アパルトヘイト(人種隔離)に共通したむき出しの実力社会と、エリート層を含めたおびただしい失業を生み出すかもしれない」と負の側面もあると指摘した。

弊会会報の中で、本県沿岸部の水産加工業を営む会社経営者からは「AI化やロボット化は、人件費の大幅な削減につながる可能性が高い一方、人件費は大半が従業員の収入、つまりは一緒に働く仲間やその家族の生活に直結する経費であることを考えねばならないという意味において、一歩間違えば企業が自己矛盾に陥る可能性を秘めている」旨の懸念が示されている。

AIの急進展を示す事例として、IT企業グーグル系の会社が最新のAIを使った囲碁のコンピューターソフトを開発し、人間のプロ棋士に勝ったことが挙げられる。囲碁は将棋やチェスと比べて打てる手数が桁違いに多いことから相当先のことと思われていたことが実現したのである。新しい「ディープラーニング」と呼ばれるコンピューターが自ら学習する最新の技術が使われたという。

東京大学松尾研究室によると、こうした技術により2020年までには自動運転など、25年には家事・介護など、30年には翻訳、ホワイトカラー支援などの分野にAIが進出することが想定されるという。
これらの結果、新しい仕事が出てくる要素もあるが、日本の労働人口の49%が人工知能やロボット等で代替え可能になるというショッキングな見通しが示されている。かつてイギリスの産業革命時に起こったラッダイト運動―機械使用の普及により失業の恐れを感じた手工業者・労働者が起こした機械破壊運動―を思い起こしてしまった。

既に各国の研究者がAIにより雇用が無くなる問題、人間が介在せずに機械が自律的な行動を取るようになる場合の法的・倫理的問題、雇用と所得を切り離し、雇用は保障せずとも所得を保障することの問題などが提起され、百家争鳴の感を呈し始めている。
日本政府もAIなどのテクノロジーによる産業構造や就業構造に与える影響について検討を開始した模様である。AIは敵か味方かではなく、AIとともに創る豊かな未来に向かって進むべき時かもしれない。

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郷土出身の高名な俳人山口青邨の句に「みちのくの町はいぶせき氷柱かな」という句があり、いぶせきは、鬱陶(うっとう)しいの意のようです。しかし、私は
「わが想い現わしている氷柱かな」と詠み、むしろ親しみすら覚えています。とはいえ、厳しい寒さでもあります。くれぐれもご自愛ください。

小園亭主敬白

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第92号

謹啓 田園は重いこうべを垂れた稲穂の色で黄一色となっていますが、振り返ると先日までくすんだ色をしていたウメモドキが人を驚かすように真赤に染め上がっています。
お元気でしたか。メルマガをお届けいたします。

相原正明行政文化小園 メールマガジン第92号(H29.10.18)

― 旧市町村民気遣う施策を ―

平成の市町村大合併を覚えておられるであろうか。1999年から2011年にかけて全国の市町村数が3,232から1,722と46.7%も減少し、岩手でも59から33と44.1%減少した。昭和30年前後の昭和の大合併以来の激変である。
中でも合併の財政支援などの特例期限である05年度末に向けての合併が圧倒的に多かった。弊法人の会報では「平成の市町村大合併から十年」の特集を組み、合併の成果と課題について検証することとした。

私も当時、江刺市長として嵐のような合併風の中をあたかも市という大船に市民全員を乗せて、転覆しないよう舵を切るのに必死であった。当時小泉純一郎首相(01~06年在任)の鉈を振り下ろすような行財政改革の締めくくりの時期であり、3割自治といわれた地方の弱小自治体は、親の仕送りのような地方交付税の大幅縮減で先行き真っ暗となった。とどめを刺すように期限を切られたことにより、大いに悩み、結果、雪崩を打つように合併に突き進んだのである。

これを鞭とすれば飴の方の最たるものとして特別の財政支援があり、単独のままではできなかった学校等の大型施設の建設、橋梁整備、鉄道東西交流通路設置等を10年間の合併建設計画に織り込むことが出来た。
もとより、合併による財政力の強化、職員体制の充実による行政能力のアップ、対外イメージの向上などは十分期待されたところであり、大きな反対運動もなく合併が実現した。

ただし、すべてのことに光と影はある。これまでの旧市町村の区域では、首長も議会もなくなり、広域化した新市等の一地域となり、自治体の中心ならではの行事等が減少し賑わいが低下する。また、地域内への細かい目配りが後退し、合併以前の方が住みやすかったと思う感情も生じる。さらにはこれまでの身近なことを全て自分たちで決めていたことが出来なくなったもどかしさも残る。

合併後の新自治体においては、歴史的な合併の成果を着実に積み上げ、合併して良かったという実感を住民に抱いていただく必要がある。一方では住民の本音に向き合うという政治的感覚からも前述の感情にも十分配慮し、行政効率のみを重視した性急な一体化には慎重であるべきべきであろう。今回のテーマに関して数人の合併直前の旧市町村長を取材してその感を強くした。

昭和の大合併の経験からも、旧市町村の思いが消え、真に一体となるまでには何十年を要すると思われる。血のにじむような苦労の果てに50年、100年に一度の合併を進めた立場からは、合併の成果の確実な実現と併せて、合併前の旧市町村住民の心情に可能な限り配慮した施策を望む。

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衆院選がスタートしました。勢いのある党が勝利するのでしょうか。久しぶりに手にした司馬遼太郎の著作の中で、同氏は幕末の越後長岡藩の河井継之助に「勢いというものは山から落ちる水のごとく、なにものにも阻まれぬ」と語らせています。
深まる秋には冷気が混じります。くれぐれもご自愛ください。

小園亭主敬白

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第91号

謹啓 午前中、網戸にしようとして自宅1階の窓を開けたら鮮やかな日傘をさした若い女性2人が歩いており、次いで2階の窓を開けたら年配のご夫婦風の2人が白い日傘を差して佇んでおりました。俳趣の世界を感じました。
いかがお過ごしですか。メルマガをお届けいします。

相原正明行政文化小園 メールマガジン第91号(H29.7.15)

― 改憲案国民的論議を ―

今年の憲法記念日に安倍首相が突如公表した改憲提案が大きな波紋をもたらしている。憲法9条とともに教育無償化を改憲項目として例示し、2020年の改正憲法施行を目指すとしたものである。

現行憲法が施行されてからちょうど70年経過するが、これまで憲法は改憲派、護憲派など国民世論が割れる中で一度も改正されることはなかった。そもそも衆院でも参院でも3分の2以上の賛成が無ければ発議できないという要件をクリアできなかった。ところが昨年の参院選の結果それを可能とする政治状況となったのである。それでも衆参両院の憲法審査会の議論は遅々として進まず、自らの手による憲法改正を悲願とする安倍首相が期限まで切って勝負に出た形だ。

これに対して民進党は改憲論議自体を拒否しないものの安倍政権下での改憲には否定的な立場を堅持、公明党は憲法に新たな理念を盛り込む「加憲」の立場、日本維新の会は教育無償化を掲げる、共産党は改憲に反対の立場などとされる。

国民世論は、憲法記念日に報道された共同通信の世論調査では改憲を「必要」とする回答が60%に上る一方、安倍首相下での改憲に51%が反対したという。

安倍首相の提案を受ける形で自民党サイドでは一気に論議を加速させ、①9条への自衛隊明記②高等教育の無償化③緊急事態条項④参院選「合区」解消―の4項目を中心に据えて具体的な検討作業に着手した。

ところで、改憲論議は国会議員のみが行うものであろうか。国民は国会が発議した案に投票でイエス・ノウを言うだけの存在でよいのであろうか。
憲法は国民生活を律するすべての法律を含むルールの頂点に立つものであり、特に憲法9条がもたらしたこの70年間の日本国民を巡る戦争と平和の現実を思い起こすとき、数十年・百年にわたって死活的に重大な影響を与える憲法改正については、国民一人一人が十分理解して論議を深め、その民意を見極めて国会が発議すべきものではないか。

実はこれらのことは、日本では未だ経験の無いプロセスであり、根本に立ち返って考える時である。国会は、改憲発議内容の具体化と並行して国民の理解の涵養、公正で自由な場における活発な論議の巻き起こし、そのことに関する政府や地方自治体の役割、報道機関等への協力要請等について早めに立案し、推進すべきではなかろうか。

憲法改正については、意義のある改憲も十分あり得ると思いつつ、悔いを千載に残さないためにも真の国民的論議のもとに行われることを望む。

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作家井上靖が82歳から83歳にかけて著した「孔子」の次は作家佐藤愛子が92歳で書いた「九十歳。何がめでたい」を読んでいます。間もなく70歳を迎える私も大いに刺激されます。
暑さ厳しき折、くれぐれもご自愛ください。
小園亭主敬白

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第90号

謹啓 春爛漫の我家の小庭には、3種の水仙、椿(千重咲)、スミレ、ムスカリ、ヒヤシンスが華を競っています。
新年度に入り、いかがお過ごしですか。メルマガをお届けいたします。

相原正明行政文化小園 メールマガジン第90号(H29.4.24)

― 学力向上へ県民の総力を ―

昨年、岩手の将来を担う子供たちの学力が低いのではないかと心配される地元紙の記事が「岩手っ子数学苦手な傾向」、「学力テスト9年連続で全国下回る」という、衝撃的な見出しの下に報じられた。
平成28年度の全国学力・学習状況調査結果についてのものである。小学6年生と中学3年生が対象で、小学校が国語と算数、中学校が国語と数学で行われ、国語と算数・数学は知識力を問うAと知識活用力を問うBに分かれている。

民間調査機関の分析によると、小学6年生の全教科の平均正答率の全国ランクは、1位石川県、2位秋田県、3位福井県で岩手県は17位となっている。中学3年生では、1位福井県、2位秋田県、3位石川県で岩手県は40位となっている。ちなみに前年のランクでは小6の上位3県は秋田、石川、福井の順で岩手は同じ17位であり、中3の上位3県は同順位で岩手は44位である。
このように本県では中学3年生の学力が懸念されるが教科別に見ると平均正答率は国語Aのみ全国を上回り、数学A、Bが9年連続、国語Bは2年連続で全国を下回っている状況にある。

一方、隣の秋田県では、小学校中学校とも毎年のようにトップグループ入りしている。このことは、驚嘆すべきことであり、称賛とともに岩手としては追いつき追い越さなければならない目標と考えるのは私だけであろうか。
文科省は、学校教育の目標は子どもたちに「生きる力」を育むことであるとし、その「生きる力」を「知」の側面から見たものが「確かな学力」であるとしている。岩手の子どもたちの生きる力を高めるためにも全力を挙げて取り組みたい。

本県では、いわて県民計画第3期アクションプラン(2015年度~2018年度)の中に「児童生徒の学力向上」を大きく位置づけ、教育委員会の中に学力・復興教育課を配置して学力向上対策に鋭意取り組んでいる。
その取組みの中には、「授業改善の推進と家庭教育の充実」という項目があり、さらに家庭や地域の役割として「学校が行う学力向上の取組への参画・協働」、「家庭学習の習慣付けや生活習慣の確立」、「家庭学習の環境づくり」が示されている。私はこの家庭学習に特に注目したい。

秋田県では、50年ほど前に当時の学力テストで全国40位台に低迷し、これを脱するため保護者はじめ多くの県民の協力を得て大胆な教育改革を始めたとされる。本県においても県民運動として総力を挙げて学力向上に取り組むべきではないか。

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北方謙三著の三国志13巻は孔明の死を以って完結しましたが、天才孔明の死因は過労死として描かれています。その孔明は劉備と出会う前の晴耕雨読の日々はむしろ苦悩と絶望のときであり、仕事に追われるその後の方が生き生きとしたようです。ワカル話でもあります。
とはいえ、働き過ぎにご注意され、くれぐれもご健勝でお過ごし下さい。

小園亭主敬白

・ 本文は、平成29年4月17日付けの岩手日報紙「日報論壇」に掲載されおります。
・ このメルマガは、頂戴した名刺のアドレス等をもとに多くの方々に発信せていただいております。恐れ入りますが、もし不都合のある場合は、お知らせ願います。ご意向に沿って速やかに対処いたします。

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