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2023年4月~2024年3月

メールマガジン 2023年4月~2024年3月

第 116 号(2024(R6).1.31)

生成AI

椎名素夫氏

謹啓 新年はいかがお過ごしでしたか。能登半島地震により被災された皆様に改めて心から哀悼の意を表し、お見舞い申し上げます。最近話題の大きいテーマに挑戦し、メルマガとしてみました。

相原正明行政文化小園 メールマガジン第116号(R6.1.31)

       ― 生成AIとの共生に備える ―

近年、AI(人工知能)の進展は著しく、チェス、将棋、囲碁で人間の最高峰(プロ棋士など)を打ち負かしたことは記憶に新しい。さらに文章などを自動的に作り出す生成AIが急速に進歩している。生成AIは、あらかじめ学習された大量のデータをもとに文章や画像などを生成する能力を持った人工知能と説明される。最近特に注目され、衝撃を与えたのは、アメリカのベンチャー企業「オープンAI」が開発したチャットGPTである。質問や命令を入力すると、非常に自然な文章で答えてくれる。このAIにはインターネット上の何千億という文章をもとに、自然な文章を出力することに特化した仕組みが内蔵されているという。企業活動や教育・研究の場での活用が早速出始めている。

2023年11月に米国、中国、EUなどを含むAI先進国が、会議を開き、最先端のAIがもたらす機会とリスクなどに対処するため一定の合意に達したとされるが、この会議に前述の米オープンAIのトップも名を連ねている。

文部科学省では、23年7月に小・中・高校向けの生成AI利用に関するガイドラインを公表している。その中では、「使いこなす力を育てていく姿勢も重要だ」としつつも、「生成AIに全てを委ねるのではなく、最後は自己の判断や考えが必要であることについて十分な指導が大切である」旨を示している。

先日、知人と「生成AIに人間は勝てるか」の議論をしたが、知人は「全く勝てない」との意見であり、私は「AIさんはそうおっしゃるが、人間の私はこう思う、それが日本人の文化だと言って引かない」と述べた。それを話した時、頭の中に郷土の元国会議員(故人)の次の趣旨の言葉があった。「選挙をやると、一生会うことのないであろう人たちと会える。出会った人に言われた片言隻句が心のどこかに残っている。そうした言葉があるから、外国の要人と話した時も、『日本人というのは…』と自信を持って話せる」

文化庁の文化を大切にする社会の構築に関する文書の中に、「文化の交流に当たっては、まず、自らの歴史と伝統を理解し、自己のアイデンティティーを確立しなければなりません。(中略)自分という軸がしっかりしていなければ、他の文化を無秩序に受け入れることにもなりかねません。」の一節がある。  今後一層、一人一人が文化について考え、学び、文化を大切にする心を持つよう努めながら、生成AIと共生し、またそれに備えるべきではなかろうか。

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文中の元国会議員(故人)は、椎名素夫氏です。平成18(2006)年6月に私が現職(市長)の折り、ある祝賀会で同じテーブルでした。翌年3月に逝去されました。心に染みるお言葉であったと思います。 寒さ厳しき折柄です。くれぐれもご自愛ください。                        小園亭主敬白

・ 本文は、令和6年1月5日付けの岩手日報紙「日報論壇」に   掲載されております。また、本メルマガに転載することについ  て岩手日報社の許諾をいただいております。

・ このメルマガは、頂戴した名刺のアドレス等をもとに多くの方々   に発信させていただいております。恐れ入りますが、もし不都合の   ある場合は、お知らせ願います。ご意向に沿って速やかに対処いた   します。

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第 115 号(2023(R5).10.27)

謹啓 心地よい秋の日差しに誘われて庭に出てみますと、目の高さの棒杭に羽が一部欠けたトンボが休んでいました。ご苦労さまという気持ちで鼻で触れましたが、逃げも動きもしませんでした。お変わりありませんでしたか。メルマガをお届けします。

相原正明行政文化小園 メールマガジン第115号(R5.10.27)

― 少子化対策成果挙げて ―

1990年の「1.57ショック」をご存知であろうか。日本が初めて少子化傾向に気付いたときの言葉である。実は、合計特殊出生率(女性が一生の間に生む子どもの数の目安)は75年には2.0を切っていたが、その低下傾向が続き89年に1.57になっていた。この数字とトレンド(動向)が示す事態の重大性に驚き、騒いだのが翌90年であった。

この時政府は、出生率の低下と子どもの数が減少傾向にあることを「問題」として認識し、仕事と子育ての両立支援など子どもを産み育てやすい環境づくりに向けて対策を検討し始めた。94年にはエンゼルプランを策定し、保育所の量的拡大、低年齢(0~2歳児)保育などを進めた。

合計特殊出生率は、その後も下がり続け1.2台(2003)となったが、対策の成果も相まって1.4台(12年)まで戻した。しかし再び下降に入り、22年には1.26となっている。出生数の減少と死亡数の増加を背景に日本の総人口は08年をピークに減少局面に入った。少子化の進行は、人口の減少と高齢化を通じて、労働供給の減少、経済や市場規模の縮小、経済成長率の低下などをもたらす重大課題である。

諸外国はどうなっているのか。欧米で少子化対策に成功したのはフランス、スウェーデン、オランダであり、これらの国では合計特殊出生率がある時期1.5程度まで低下したが、近年は2.0近くまで回復している、米英豪では大きな出生率の低下は起きていないとされる。一方韓国は1970年には4.0を超えていたのが年々低下し2022年には0.78となっており、同国の少子化対策は失敗したと評されている。

識者によると、日本の場合の最大の要因は、結婚していない若者が増えたことと指摘されている。日本では近年は低下気味とはいえ結婚した女性は平均2人程度は生んでいるのである。従ってこの点に照準を定めた対策の強化も大切である。出会いの機会の減少、経済的な不安定からくる結婚への不安、家事・育児が女性に偏ることへの忌避感など多様な課題がある。国・自治体挙げて資金を投入しつつ対策を講じてきたが、成果が上がっていない。

結婚・出産は個人の自由な意思決定によるものであり、特定の価値観を押し付けたりプレッシャーを与えてはいけないとの大前提で、首相・首長の責任ある指揮の下、着実にさらなる成果を挙げていくことを望む。

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もう少しするとふいに上空に白鳥が姿を現し、季節が変わったことを示すかのような幕引きをします(するように見えます)。大空の白鳥見上げるトンボかな(拙句)。トンボに同情しつつ私も秋仕舞いに入ります。 酷暑の疲れが残っているかも知れません。一層ご自愛ください。    小園亭主敬白

・ 本文は、令和5年9月20日付けの岩手日報紙「日報論壇」に掲載されております。また、本メルマガに転載することについて岩手日報社の 許諾をいただいております。

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第 114 号(2023(R5).5.17)

謹啓 我が家の小さな庭に今年もアヤメが咲きました。気のせいかいつもよりスマートで、数十本まとまってすっくと立ち並び、紫の微笑みを振りまいています。その後いかがお過ごしでしたか。メルマガをお届けします。

相原正明行政文化小園 メールマガジン第114号(R5.5.17)

― 科学技術力計画的強化を ―

戦後の驚異的な復興を果たし、世界第2位の経済大国となり、「ジャパンアズナンバーワン」とたたえられた日本であるが、失速し、次第に世界における地位を低下させているように見受けられる。

その復興のよりどころとなった科学技術の面では、昨年まで日本人もしくは日本出身者のノーベル賞が続いているが、受賞対象研究はおおむね数十年前のものである。近年の実情を見ると実は地盤沈下しているようだ。科学技術論文のうち世界の研究者による優れた論文引用数が日本人研究論文からは年々少なくなっている。国の科学技術・イノベーション基本計画(2021年3月)においても、「研究力については、論文の質・量ともに国際的地位の低下傾向が続いている」と認めている。

なぜか。研究予算を見ると諸外国に比べ増加していない。さらに、科学技術の基礎研究などすぐに実用化に結び付かない分野では、ここ10~20年の研究費が減少してきているとの話も聞く。目先の何か目に見える成果を出さないと評価されず、研究予算が削られる、研究予算獲得のための雑務的な作業に追われて本来の研究に没頭する余裕もないという問題が指摘されている。

また、若手研究者を育てる環境が貧弱になっている。若手研究者は生活の不安定な1~5年任期の短期雇用を繰り返えさざるを得ず、次のポストを探すのも大変で、やむを得ず民間会社へ就職せざるを得ないといった実態が紹介されている。海外に目を向けると大学博士課程を経て学位を取得し大学に戻ると、かなりの高待遇で処遇される。モチベーション(意欲)の差は歴然であろう。

こうした課題を解決するにはどうすれば良いのか。前述の国の計画では、「研究力強化・若手研究者支援総合パッケージ」を策定し、抜本対策に取り組んでいるが、未だ道半ばであると述べている。

関連した民間からの支援の動きとして、最近地元新聞社が、このような若手研究者の支援に乗り出したことは特筆に値する。今後各方面に発展的に影響を与えることが期待される。

まずは国の政治として、科学技術を国の総合力充実のための基礎的柱と再認識し、国民の理解を深めつつ、予算の配分を安定的に強化することが不可欠である。若手人材を長期的観点で育成しつつ、計画的かつ着実に科学技術力を再興し、強化することを願う。

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同じアヤメ科のカキツバタに想いをはせると、伊勢物語の東下りにある「唐衣着つつなれにしつましあればはるばる来ぬる旅をしぞ思ふ」の歌が浮かびます。私もせめて俳句に生かしたいものです。たちまち夏めく頃となりました。くれぐれもご自愛ください。  小園亭主敬白

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