相原正明の個人オフィスのホームページです

2016年4月〜2017年3月

メールマガジン 第86号〜第89号

第89号

謹啓 季節とはいえ厳しい寒さと降雪が続いております。今朝は、門口の門構えともなっている桧葉垣が雪で横に広がり過ぎたため、荒縄で縛り、元の幅を確保しました。
本年もよろしくお願いいたします。メルマガをお届けします。

相原正明行政文化小園 メールマガジン第89号(H29.1.14)

― TPP展開、慎重論議を ―

昨年12月9日、環太平洋連携協定(TPP)は、国会で承認され、関連法案が成立した。
世論調査では8割が慎重審議を望み、岩手県議会でもTPP参加を不安視する生産者の理解が深まっていないなどとして批准しないことを求める意見書を提出していた。さらにはTPP発効に不可欠な国であるアメリカの次期大統領トランプ氏の脱退表明が明らかになっている中で国会審議は進められた。

TPPそのものは風前の灯(ともしび)となったとはいえ、国民生活に重大な影響を及ぼす協定の中身とその影響について論議は十分尽くされたであろうか。
もともとTPPに日本が参加したのは、自由貿易協定で先んじるライバル韓国に危機感を強めたためとされるが、その韓国が今や輸出不振と経済低迷に陥っている状況を勘案したのであろうか。
国会で参考人として発言した内田聖子氏によれば、衆院での論戦で本質的に欠落しているのは「日本はどういう国になりたいのか」というビジョンの提示であるという。例えば食の安全・安心で国はどのような基準で国民の健康を守るのか、また日本はこれからどの産業を伸ばして雇用を生み出すのか(以下略)という点であるとする。

TPPとは何であったのか。それは、世界のGDPの約4割(3,100兆円)という、規模の経済圏をカバーした経済連携で人口8億人という巨大市場が創出され、モノの関税の削減・撤廃だけでなく、サービス投資の自由化を進め、さらには知的財産、電子商取引、国有企業、労働、環境の規律など、幅広い分野で新しいルールを構築するものと説明されている。
いわば国力に大きな差のある12ヵ国間の自由貿易協定である。しかし、その具体的な影響については、農業分野での大打撃は知られているが、他産業への雇用を含めた影響については、ほとんど論議もなく成り行き任せのように見受けられる。トランプ氏の反対理由が、「雇用が奪われることへの懸念」と指摘される中でである。

今後どう展開するのか。発効が絶望視されるTPPを前に、早くも政府ではTPPに代わる通商戦略で新たな目玉を模索する動きがあると伝えられる。
私は、TPP のごとき自由貿易協定、特に多国間の協定については、その成否が見えにくいものであり、しかも国民生活に直結する産業、雇用の将来を決する最重要課題であるとの認識の下に、改めて慎重な検証を行って論議を尽くし、国民への情報開示を十分行う中で進めるべきと考える。

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この原稿を岩手日報紙に送付しますと、タイトルのみ大きく手が入ります。今回は「自由貿易協定は慎重に」という原文に対して表題のとおりの修正となりました。この表現力、見出し力にいつも脱帽です。
寒さ厳しき折、くれぐれも健康にご留意ください。
小園亭主敬白

・ 本文は、平成29年1月14日付けの岩手日報紙「日報論壇」に掲載されおります。

・ このメルマガは、頂戴した名刺のアドレス等をもとに多くの方々に発信させていただいております。恐れ入りますが、もし不都合のある場合は、お知らせ願います。ご意向に沿って速やかに対処いたします。

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第88号

謹啓 今日は亡き祖父の命日でした。白いスーツに白靴などダンディな一面もあったようです。その祖父が育てたブドウ畑の実りをお供えし、また懐かしく頬張っています。
お元気でしたか。メルマガ第88号をお届けします。

相原正明行政文化小園 メールマガジン第88号(H28.10.18)

― 主権者教育の充実を ―

選挙啓発授業(平成28年3月釜石高校)

18歳47.97%、19歳37.74%、二つの年齢を合わせると43.03%。これは何の数字であろうか。今年7月の参院選の投票率(岩手)である。70年ぶりの選挙権年齢の改正で、18、19歳が選挙権を付与され、岩手で約2万人、全国で約240万人が新たに有権者として加わった。

この新有権者にどのように働きかけ、投票率の向上につなげるべきか、国や自治体は大きな力を注いできた。まずは高校生である。
これまでの20歳からの選挙権の時代には、若者に働きかけるといっても職業人、大学生、専門学校生など各分野に散在し、統一的・集中的に相手を捉えて教育等を行うのは困難であったと思われる。ところが今回からは、ほとんどの18歳が学ぶ高校という場で密度の濃い話を一律的にすることが可能となったのである。

政治や選挙等に関する高校生向け副教材

総務省と文部科学省は昨年9月、「私たちが拓く日本の未来―有権者として求められる力を身に付けるために」と題する100ページ余にも及ぶ生徒向け副教材を作成し、全高校生に配布し、公民の時間を中心としたいわゆる主権者教育を大幅に強化した。あわせて教員向け指導資料を新たに作成するとともに担当教員の研修にも力を入れた。
また、その副教材に記載されている模擬選挙を行うべく、選挙管理委員会等と協力して選挙啓発授業を行った。本県の公立高校(特別支援校を含む)では2015年度に25校で実施され、大きく報道されたところである。

これらの努力の成果が冒頭の投票率となって如実に表れた。高校の場を離れた19歳の投票率が低く出たのはやむを得ないことではある。
今回の参院選投票率(全国)を見ると、20歳代が35.60%に対して、10歳代は46.78%と大きく上回っている。この10歳代の層が20歳代に達したとき、その投票率が大きく改善されることが期待される。

また、ことは投票率だけではない。格段にパワーアップした主権者教育を受けた高校生は、具体的な投票行動が目前に迫っていることと相まって、これまでになく政治と政治が解決すべき課題に強い関心を抱き始めたようである。最近、当会の活動にかかわって高校生を取材してみて感じたことである。その考えは、国の予算をもっと震災復興費に用いるべきという点にまで及んでいた。

この貴重な機運を持続させ、若者たちをこの国の未来を力強く担っていく人材として育てるためにも、主権者教育の一層の充実を願うものである。

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朝露の中、摘み残した数粒の葡萄の味は、貴腐ワインもかなわないかもしれません。今は亡き愛犬もその食べ残しの皮を待っていたものでした。
大分冷え込んでまいりました。ご健康にくれぐれもご留意ください。

小園亭主敬白

本文は、平成28年10月15日付けの岩手日報紙「日報論壇」に掲載されております。

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第87号

半夏生(ハンゲショウ)

謹啓 我が家の庭に咲く花が珍しいと訪問客に名を聞かれ、答えることが出来ませんでした。後刻妻に問うと「ハンゲショウ」とのこと。意味が分からずネットで検索。なんと「半夏生」という奥ゆかしい文字でした。
ご存知でしたか。メルマガをお届けします。

相原正明行政文化小園 メールマガジン第87号(H28.7.30)

― 復興への歩み応援 ―

震災直後の大船渡駅付近

東日本大震災から5年を経過した本年5月に岩手県が発表した復興実施計画における主な取組の進捗状況を見ると、緊急課題であったがれき処理や原発放射線影響対策としての牧草地の除染は完了し、都市再生区画整理事業や防災集団移転促進事業は、工事中と完了を合わせて100%に達している。また、同様に海岸保全施設整備事業100%(県事業)、復興道路整備事100%となっており、大きく前進している。
避難者にとって特に関心の高い災害公営住宅等整備事業の方は、工事中と完成を合わせて80%となっている。

こうした数値からは復興の急速な進展が感じられる。被災地ではどうとらえられているか。本年3月の地元紙のアンケートによると復興の進行度について県内沿岸の12市町村長中7人が70%以上進行と答えている。
また毎年、岩手県が行っている意識調査のうち「お住いの市町村の復旧・復興の実感」の項を見ると、「進んでいると感じる・やや進んでいると感じる」の割合が年々高まり、今年の数値では、初めて「やや遅れていると感じる・遅れていると感じる」の割合を上回った。
このように政府が「集中復興期間」と位置付けた前半5年間で、全額国費による支援を行った成果がハード事業を中心に如実に表れている。

今後どのような視点で進めるべきか。一つには県内の応急仮設住宅やみなし仮設住宅の避難者が今年5月現在でなお約1万9千人もいる現実である。避難の長期化に対する心身のケア、生活再建支援が大きな課題であり、更には災害公営住宅に入居した方々の孤立・孤独への対応・支援策が重要である。生活再建支援金の増額、仮設住宅、災害公営住宅の双方の居住者に対する心のケア・相談活動、適切な自治会等活動への支援の充実が求められる。

旧大船渡駅付近にホテル完成

もう一つは、最も肝要なことであるが、政府が「復興・創生期間」と位置付け、大幅な財政支援を継続する後半5年の中で、新しいまちづくり、新しい産業づくりの基礎を打つことである。先日取材した沿岸部首長の「震災前より住みやすく、活力があり、人も減らない、人が訪れ戻ってくるまちづくりに結び付けられなければ復興は失敗であるという強い決意で仕事をしている」との言葉がそのすべてを言い表している。国には最大限支援を求めつつ、自治体と住民の力強い歩みを応援していきたい。

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このメルマガ発信後は、下記のホームページに関連写真入りで内容を掲載します。是非、半夏生ともどもご覧ください。
梅雨明け後の厳しい暑さが参ります。ご健康にくれぐれもご留意ください。
小園亭主敬白

◎ 本文は、平成28年7月19日付けの岩手日報紙「日報論壇」に掲載されております。タイトルの名付け親は同紙の某プロです。

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第86号

レンギョウ

謹啓 NHK・BS朝7時45分からのにっぽん縦断こころ旅で火野正平が、「初蓮華だ!」と騒いでいました。我が家の庭でも日日「初水仙だ!」、「初レンギョウだ!」と楽しんでいます。
お元気でしたか。メルマガ第86号をお届けします。

相原正明行政文化小園 メールマガジン第86号(H28.4.14)

― 保育士の処遇改善急げ ―

保育士

「保育園落ちた日本死ね!」の匿名ブログが一瞬にして政治の風を呼び起こした。
2月末の国民注視の国会討論では安倍首相の「匿名なので実際に本当かどうか確かめようがない」という答弁が出て、早速、国会周辺で同じように保育園に落ちたという母親たちが「私だ」などと書かれたブラカードを掲げ怒りの集会を開いた。さらには保育の充実を求める約2万8千人分の署名が塩崎厚労大臣に直接届けられた。
安倍政権は、「1億総活躍社会の実現」、「待機児童ゼロ」の看板スローガンが傷つき、夏の参院選で逆風になりかねないとの危機意識を持ち、3月下旬には待機児童解消のための緊急対策をまとめるに至った。

若い女性が働きたくとも保育園に子どもを預けられないために仕事に出られないという事態は、特に大都市圏で深刻と言われている。典型例として、長引く不況で夫の雇用環境が悪化し、その給料だけでは生活の安定が見えず、妻たる女性が家計の担い手として働かなければならない事情が背景にある。

民間調査機関の2011年保育所入所待機児童ランキングでは東京都が7,855人と群を抜いて1位であるが、岩手県は83人で23位となっている。盛岡市では2013年に待機児童が50人となったために法令に基づく保育計画を策定するに至った。決してよそ事ではない。

待機児童解消は、保育所を新たに建設し、あるいは定員を拡大すれば解決するものではなく、その担い手である保育士の確保がカギを握るが、その確保がままならないのである。その原因は保育士の給与が全職種の平均給与と比べて10万円以上も低い低賃金にあるとされる。

ではどうすれば処遇改善を実現できるのか。実は民営を含めた保育園(認可)の人件費を含めた運営費は、国と自治体の負担金が大本を占めており、保育料は財源の一部に過ぎない。結局は国の政策と財源配分により決まることになる。

今回の政府の緊急対策では約4%(平均月額8千円)の給与引き上げを約束した形であるが、野党側からは月額5万円引き上げる提案(法案提出)もされている。ちなみに5万円アップのための財源は、公共事業費を削減することなどで捻出するとしている。

少子化対策、人口減少対策、女性活躍推進を柱とする経済活性化対策のいずれにとっても遅すぎた重要政策と言える。政治の強い光が当たった今、恒久的な財源をしっかりと確保し、保育士の処遇改善を着実に実施することを望む。

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インターネット俳句会に水仙や背を向けるもの笑うものの句を出したところどなたか一人が採りあげてくれました。
気温変化の激しい時期です。ご健康にくれぐれもご留意ください。
小園亭主敬白

(注) 本文は、平成28年4月12日付けの岩手日報紙「日報論壇」に掲載されております。なお、タイトルは同紙のプロが付けたものです。
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