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2025年4月~2026年3月

メールマガジン 2025年4月~2026年3月

第 121 号(2025(R7).10.10)

謹啓 深まる秋の中、書斎の窓枠に沿って新幹線が走っていると同じ窓にトンボが飛来し同じように過ぎて行きました。お変わりありませんでしたか。メルマガをお届けします。

       相原正明行政文化小園 メールマガジン第121号(R7.10.10)

                          ― 介護人材確保 工夫と注力を ―

介護職員不足は深刻で、人手不足を主な理由に倒産・閉鎖に追い込まれる介護事業所、訪問介護事業所が大幅に増加している。そもそも「2025年問題」ともいわれる後期高齢者の急増があり、一方では若年層の人口減少などによる支え手が不足している。加えて賃金の低さ、職場の人間関係などを理由とする介護職の離職率が高まっているのである。厚生労働省の試算では、2026年度に全国で約25万人、40年度には約57万人が不足すると見込まれている。

介護事業者は悲鳴を上げており、最終的には介護難民と言われる介護を受けたくとも受けられない高齢者が増大することにつながる。国や自治体においても対策を急いでおり、国では介護職員の処遇改善として、19年から月額平均で7.5万円の改善を図った。 岩手県でも40年に介護職員が約6千人不足すると見込まれる危機意識のもと、24年度補正予算において職員の賃上げ分を補助する制度を拡充し、業務を支える助手らの募集、働き方改革に向けた研修の費用などを対象に加える措置を講ずるなどと報じられた。

対策の中には、離職防止・定着促進があるが、離職の原因調査の中で最も大きな割合となっているのは、低賃金や3K(きつい・汚い・危険)ではなく職場の人間関係であり、その改善のための相談窓口の充実などが必須とみられる。介護事業者自らの改善努力と行政側の支援が大切である。

こうした対策は、実際に現場の人手不足を目に見えて解消するものとなっていくのであろうか。実は国が力を入れているともいわれるのが、外国人材の受け入れ環境整備である。厚労省によると、介護分野の外国人受け入れ実績は急速に伸びており、在留資格別人数(22年6月末~23年1月末)は、EPA(経済連携協定)介護福祉士・候補者3,257人、在留資格「介護」5,339人、技能実習1万5,011人、特定技能1万7,066人に上っている。

外国人材の場合、若い労働力の確保、地方の職場でも採用しやすい、雇用に際して助成金などの支援があるというメリットが挙げられている。しかし、受け入れる職場や住居の環境整備、受入れ後の教育・指導、医療・安全確保対策を含む生活フォロー、地域社会の理解増進など多くの課題があり、行政等側の総合的かつ的確な支援・指導が求められる。

国、自治体におかれては、介護人材確保になお一層工夫し、注力願いたい。

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トンボが姿を現すころになると、子孫を残すことに必死の秋の蚊が迫ってきます。ただし、独特の鳴き声を響かせながらですので、避けることも容易です。なぜわざわざ鳴くのでしょうか。

秋の蚊は礼儀正しく鳴きにけり 江山 気温の変化にご注意され、ご健勝でお過ごしください。  小園亭主 敬白

・ 本文は、令和7年9月3日付けの岩手日報紙「日報論壇」に   掲載されております。また、本メルマガに転載することについて岩手日報社の許諾をいただいております。

・ このメルマガは、頂戴した名刺のアドレス等をもとに多くの方々   に発信させていただいております。恐れ入りますが、もし不都合の   ある場合は、お知らせ願います。ご意向に沿って速やかに対処いたします。

 

第 120 号(2025(R7).5.11)

謹啓 お花見には行かれましたか。我が家では桜ではなく、リンゴの花を楽しみます。香りが何とも言えず良いですよ。 その後いかがお過ごしでしたか。 新年度初のメルマガをお届けします。

       相原正明行政文化小園 メールマガジン第120号(R7.5.11)

                          ― 食料安保 国政の基軸にして ―

食料自給率と食料安全保障の問題は、近くて遠い存在である。昨今の米不足、米価高騰の困った事態になるとその影が見え始める感じがする。いざという時、日本は大丈夫であろうか。

改めてみると食料自給率(国内の食料全体の供給に対する食料の国内生産の割合)の状況はまことにお寒い。カロリーベースでみると1965年に73%であつたものが、58年経過した2023年には38%と半分近くに低下している。その原因として、米の消費が減少する一方で、畜産物や油脂類の消費が増大する等の食生活の変化によると説明されている。21年おける先進7か国(G7)で比べると、カナダ204%、フランス121%、米国104%、ドイツ83%、英国58%、イタリア55%であり、日本の低さが際立って見える。

このような状態の中で、いざ食料の輸出入が滞ったとき日本は大丈夫なのか。これが食料安全保障の問題である。食料問題と密接に関係する世界の人口は、22年に80億人を突破し、国連の予測(24年)では80年代半ばには約103億人でピークに達するとしている。加えて気候変動等に起因する深刻な農産物の世界的不足、ロシアによるウクライナ侵攻のような国際紛争の現実化が食料危機の側面から強く懸念される。食料需給のひっ迫や食料価格の高騰などが起きると、輸出国では輸出制限を行い、自国の食料の安定供給を優先する傾向にあるとされるからである。

しからばその対策はどうか。農水省では国内の農業生産の増大を基本とし、加えて安定的な輸入と備蓄を行うこととしている。識者の中にはさらに国民の食生活の努力目標として国産の食べ物に興味を持ち、旬のものをバランス良く食べることを挙げる説もある。近年摂取量が増えている冷凍食品、加工食品の原料のほとんどを輸入に頼っていることが理由となっている。農業生産の増大では、政府目標にもある米の輸出拡大が大きな柱となる。輸出分はいざというときに国内に回せる「備蓄」でもある。米の増産は休耕田の復活につながり、環境保全、農村の活力・人口確保などの効果も期待できる。

以上述べた取組みは、国民の理解と協力の下、中長期にわたって継続して行われる必要がある。 食料安全保障を国政策の基軸と位置づけ、一貫性をもって継続的に国民の理解向上に努め、その協力のもとに力強く推進すべきである。

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開花したリンゴの花の香に触れたとき、島崎藤村の「初恋」の詩の「まだあげ初めし前髪の林檎のもとに見えしとき」の一節を思い起こしますが、その詩は秋の季節のものでした。 日々気温も高まってまいります。お元気でお過ごしください。      小園亭主 敬白

・ 本文は、令和7年4月9日付けの岩手日報紙「日報論壇」に   掲載されております。また、本メルマガに転載することについ  て岩手日報社の許諾をいただいております。

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