随筆・エッセイ
❂ No.2 最初の心構えが大事 (2020年-令和2年10月31日) ❂
最近2年ぶりにゴルフを楽しんだ。県内のゴルフ場で18ホールのコース入りは、136回目である。
初回が1988年(昭和63年)なので32年目ということにもなる。当時は県庁の課長補佐クラスで、県
の上層部や霞が関の中央官僚と話しを合わせるには、従来のマージャンに代わってゴルフという
風潮であった。
一人前と言われるスコア100を切るのに約10年かかり、90台を連続で出せる時期もあったが市長
職で練習を含めてゴルフの時間を取れなくなってからは、どんどんスコアも落ちて、今では120台
という初心者レベルに舞い戻ってしまった。数年前からは年1~2回で貴重な人的交流の場としてい
るのみである。
もともと運動神経は並以下であったが、最初の取組み方が悪かった。全く自己流で始めてしまっ
た。ゴルフスクールの存在は知っていたが、たかがプラスアルファーのレジャーといった認識のた
め、甘く見ていた。
しかし職場の空気から必須科目のように出場したコンペ(ゴルフ大会)では、万座の前でポンコツ
ショットをすることも多く、恥をかく辛い場ともなった。
これではいけないと4~5年経過した頃ゴルフスクールに通い出したが、指導員は生まれつきのス
ポーツマンらしく、何故こんな拙いスイングになっているのかが想像出来ないようであった。よっ
て生徒のつまずき理由を見出し、それに応じた指導が出来ない、あの剣豪宮本武蔵が指導者として
はわかりにくかったのと同じであった。
人のせいにも出来ないが、ゴルフ道については出だしでつまずき、長く尾を引いてしまった。
そういえば中学時代の卓球もそうであったし、社会人になる出だしもそのような思い当たることが
ある。
最近改めての愛読書「徒然草」(兼好法師)の第187段「万の道の人」には、「どの道であっても専
門家というものは、たとえ未熟であったとしても、熟練の素人に比べた時に、必ず勝っている。それ
は、いつも油断なく慎重で軽率なことをしないのと、ただただ勝手気ままにするのとは、ちがうから
である」(荻野文子著、兼好法師徒然草、NHK出版)とある。納得できる部分が多い。
どんな道であっても、一旦その道に向かうからには、ましてや己の命運に関わる真剣な場面にも出
会う道であるからには、当初から油断なく慎重に、学びつつ思いつつ進むべきであろう。最初の心構
えが大事である。
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